シリーズ初の海外ロケはいかがでしたか?
仲間 異国の地に「トリック」のメンバーと一緒にいるというのは、少し不思議な感覚で新鮮でした。でも、行く場所はやっぱり「トリック」だなって(笑)。洞窟とかジャングルとか、海外に来てもやっぱり都会の匂いが全然感じられない人里離れた場所に行くんですよ (笑)。
阿部 初海外なのに「また山奥の村か…」とは思いました(笑)。ただ、やっぱり景色も雰囲気も変わりますから、これまでのイメージを踏襲しつつも、新しい「トリック」をやるという感覚はありました。今回は、大きな川を漁船のような小舟で移動していくんだけど、どこか『地獄の黙示録』のような雰囲気もあり、これから危険なところに行くという緊迫感もあって新鮮でした。
仲間 コウモリの巣になっている洞窟に、何日もこもって撮影することもあって、時々大群が帰ってきたりするので大変でした。そんな気味の悪い張り詰めた空気の中で、いつものようにバカバカしいトリックワールドが繰り広げられる訳ですから、それだけで面白いですね(笑)。
阿部 自分は実は、夏の「トリック」が好きなんです。冬は冬でいいんだけど、トリックの世界観ならではの匂い立つような空気感、何か映るんじゃないかっていう独特の雰囲気がたまらない。今回の映画は特に、そういう一筋縄ではいかない特異な世界観を感じてもらえるんじゃないかと思います。
それぞれのキャラクターを演じるにあたって、今回の映画で変化させた部分、新たに加えた要素みたいなものはあるのでしょうか?
仲間 もともと奈緒子は、上田さんに対して上から目線というか、乱暴な部分が多かったんですけど、今回はそういう乱暴な部分を、自然体でもう少し強く出してみようと思いました。ただ、そうすればするほど、奈緒子は上田に対してどんどん失礼になっていく(笑)。でも、それも奈緒子らしさのひとつの表現方法なのかな…と。今回は、そういう要素をたくさん出した気がします。
阿部 僕は逆ですね。今までは、奈緒子に負けないように意地を張って頑張っていた上田ですが、今回は個人的に「負けてみてもいいかな」とふと思って、ちょっと甘えてみたりして(笑)。それはセリフでそう作ったということじゃなくて、2人の間の見えない距離というか、空気みたいなもので表現したら面白いんじゃないかと。それでどんな可能性が生まれるんだろうという挑戦でもありました。今回は、今までにないそんな2人の関係も、皆さんに観てもらえるんじゃないかと思います。
2人の関係性に進展があったりも…!?
仲間 奈緒子と上田については、皆さんが感じているラブ(笑)みたいな部分も含めて、もっと大きな関係性で繋がっている気がします。絆というか、不可思議な愛情みたいなものがあって、いろいろな繋がりがこの2人にはあるのだと思います。そのことを、今回の映画でより強く感じました。
阿部 確かに、単なる愛情とは違う気がしますね。助けるのかと思ったら、平気で裏切って突き落としたりしますから。いったい2人はどっちに行こうとしているんだ、と(笑)。でもそれは、揺るぎない信頼関係という軸があってのこと。そういうところが僕自身も楽しいし、ファンの皆さんにとっても楽しめる部分なんじゃないかと思う。どういう関係でくくればいいのか分からない、答えが永遠に出ないというのも、らしいところだと思います。
シリーズは今回の映画でいよいよ完結。ラストステージに挑んだ心境は?
仲間 本当に最後ですから。今でも信じられないような気がしています。先日、アフレコのときに少しだけ映像を見ることができたのですが、海外に奈緒子と上田がいるという不思議さのいっぽう、変わらぬ「トリック」の世界がしっかりと映っていて、私自身ワクワクしました。この作品を長く愛してくださっている方はもちろん、初めてこの世界に触れるという方も、スケール感の大きい映像で、目いっぱい楽しんでいただけるのではないかと思います。
阿部 堤監督から、「これで本当に最後ですよってことを皆さんにお伝え下さい」と言われています(笑)。そして、「最後は泣けますよ」とおっしゃりながら、監督ご自身がちょっと涙ぐんでいらっしゃったのが印象的です。奈緒子の出生の秘密とか、神秘的な力とか、ファーストシリーズから続くすべてに決着がつく、原点回帰のような作品になると思います。
仲間 ラストに関しては、ファーストシリーズからの思いがよみがえってくるような、いろいろな愛情、絆を感じられるシーンになっています。ずっと応援して下さったファンの方々が、どんな気持ちでこのラストシーンを観てくださるか、今から楽しみにしています。
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